世界三十傑大学にふさわしい総合研究大学として、卓越した学術研究を通して知を創造するとともに、

新たな学問領域の開拓とイノベーション創出を力強く推進します。

ニューノーマルを見据えた「研究の変革」

東北大学は、2018年に策定した「東北大学ビジョン2030」の中で、2030年を見据え今後取り組んでいくべき挑戦的な展望について取りまとめています。2020年には「東北大学ビジョン2030」をアップデートした「コネクテッドユニバーシティ戦略」を策定しました。

この「コネクテッドユニバーシティ戦略」では、「研究の変革」を主要施策のひとつに掲げています。

コロナ危機に続くニューノーマルの時代においても、世界トップレベルの研究力を発揮し、新たな学問領域の開拓とイノベーション創出を推進しつつ、社会の分断や格差を越えてボーダレスかつインクルーシブに世界を繋ぐ新たな大学像を確立することを目指し、以下のような変革を目指します。

  • ポストコロナ時代のレジリエントな社会構築に向けた研究推進
  • 国際共同研究コミュニティ形成若手研究者の活躍促進
  • データ駆動型研究オープンサイエンスの展開

これらを実現するため、次のような体制を構築しています。

研究DXの体制整備

研究環境DX推進方策検討タスクフォース

本学の研究環境DXの推進方策について検討することを目的としたタスクフォースを設置し、令和3年12月に「東北大学研究データ管理・公開ポリシー」を策定しました。

研究活動におけるデータの重要性が増大しているなかで、本ポリシーに従い、高い学術的意義を有する研究データを適切に管理するとともに、研究データの公開及び利活用を促進し、研究中心大学として人類社会の持続的発展に貢献してまいります。

研究DXサービスセンター

研究活動とデータの利活用が切り離しがたくなりつつある状況を踏まえ、創造的な研究活動を促進する情報環境を創出するべく、東北大学知の創出センター内に「研究DXサービスセンター」を設置しました。

研究DXサービスセンターでは、日本・世界におけるDXの状況に関する調査や、「研究DX戦略セミナー」や「実践データ駆動科学オンラインセミナー」などを通じた情報提供活動を中心に、研究DXの推進支援を行っています。

コアファシリティ統括センター

研究設備の共用化(コアファシリティ化)および研究環境DXを推進するため、「コアファシリティ統括センター」を設置しました。

戦略的な研究設備の整備と、それらのリモート接続による効率的な計測・遠隔教育の実現で研究環境DXを推進し、総合知を先導する研究基盤構築エコシステムの開発、そして、国内外の研究者が本学の保有する世界最高水準の最先端設備を利用できる持続可能な体制の確立を目指します。


具体的な取組み

オンラインを活用した国際共同研究推進

東北大学は、国際社会でリーダーシップを発揮してトップクラスの研究を牽引し、社会を変革するイノベーションの先駆者となるために、本学を中核とした「人が集い、学び、創造する、世界に開かれた知の国際共同体」の形成を目指しており、文部科学省の研究大学強化促進事業の支援対象機関にも指定されています。

本事業で取り組む強化方針のひとつ「将来のグローバル・リーダー育成」を実現するため、若手リーダー海外派遣プログラムを創設し、最大1年間の海外研究機関への渡航費用を支援。本学の意欲に富む優れた若手研究者の、国際共同研究推進・国際ネットワーク基盤構築を支援・促進してきました。

2022年度からは、海外研究グループとオンラインによる定期ミーティングを行い、積極的な国際ネットワーク基盤を構築する「オンライン型海外派遣プログラム」を支援対象に追加し、従来の渡航型との融合的活用を通じて、コロナ禍においても国際共同研究を強力に推進していきます。

データ駆動型研究の展開を目指したオンラインセミナー

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新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う「ニューノーマル(新常態)」の到来により、実験を中心とする研究コミュニティにおいても、データを活用した実験研究、いわゆるデータ駆動型研究の重要性が増しています。

本学では、数理・データサイエンス・AIなどの活用を進めている研究者によるオンラインセミナーを令和2年度から計13回開催。

材料科学、生命科学、社会科学といった広範な分野を対象に、最先端のデータ科学の活用事例を紹介し、研究者がデータ駆動型研究と出会う場を積極的に創出しています。

カーボンニュートラル実現を加速する⾼磁場固体NMR遠隔システム

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本学の工学研究科、金属材料研究所、多元物質科学研究所、材料科学高等研究所等は、全固体電池や革新電池の基盤となる固体イオニクスの研究拠点として国内外に広く認知されており、その研究の中核となっているのが高磁場固体核磁気共鳴(固体NMR)です。

カーボンニュートラル実現の柱である次世代電池開発における固体NMRの利用ニーズは急拡大しており、 外部ユーザから遠隔利用対応への要望も受けて、固体NMRのスマート遠隔システム化を実現しました。

これにより、遠隔地から出張不要で測定・解析が可能になったほか、年間1,000時間の新規マシンタイムを創出。外部共用率が2倍に上昇し、Top-10%論文も倍増するなど、研究現場の生産性向上と飛躍的イノベーションの実現に貢献しています。