モンゴル科学技術大学等とDX連携に向けた交流を実施しました

2026年3月26日~29日、本学より劉庭秀(国際文化研究科研究科長)、寺尾健志(データ戦略室)、李昀竹(情報部デジタル変革推進課)の3名がモンゴルを訪問しました。
現地では、モンゴル科学技術大学の温かい歓迎のもと、「大学のDX」に関するワークショップが行われ、同大学の有識者の方々とともに、両大学のDX推進の現状を振り返りながら、将来の展望や協力拡大について意見交換を行いました。

国際的なつながりの中で発展するモンゴル社会
1990年の民主化以降、独自の発展を遂げてきたモンゴル。市場経済への移行とともに発展を遂げており、首都ウランバートルでは2000年代後半から都市開発が進み、2010年代に入ってその変化が一層顕著となっています。
今回訪問するウランバートル市内を走る車両には、日本製の中古車が多く見られ、技術面での日本への根強い信頼を実感します。一方で、街中には韓国系のコンビニエンスストアやレストランが建ち並び、若者を中心に韓国文化が深く浸透している様子も印象的でした。市内全体が多国籍な支援と文化が混ざり合う、非常にエネルギッシュな空間が広がっています。


一方で、市内から少し離れると、広大な草原の風景が広がり、遊牧民としての伝統的な生活様式が今も息づいています。近年は都市化の進展に伴い、遊牧から定住へと移行する動きも見られる中で、変化する社会の中での暮らしや教育の在り方について考えさせられる場面もありました。大学間連携を通じてどのような貢献ができるのかを見つめ直す機会ともなりました。




訪問期間中は晴天に恵まれ、ウランバートル市の気温も12月の北海道並みと過ごしやすく、快適な環境の中で全日程を終えることができました。また、訪問の思い出を一層鮮やかにしてくれたのは、現地の豊かな食文化です。伝統的なモンゴル料理は牛肉やマトンを中心とし、しょうゆベースの味付けも親しみやすく、適度な濃さとともにその美味しさが印象に残りました。さらに、周辺諸国の影響を受けた多様な料理も楽しむことができ、現地でいただいた韓国料理などを通じて、食の面においても文化の多様性が広がっていることを実感しました。


そんな活気あふれる現地での活動を、現地の雰囲気とともにご報告します。
DXをめぐる率直な対話と相互理解の深化
3月27日午前のセッションでは、東北大学のDX推進の現状や取組について寺尾および李より説明を行い、モンゴル科学技術大学の教職員との間で活発な意見交換が行われました。質疑応答を通じて、これまで十分に共有されていなかった本学の体制や取組に対する理解が深まり、率直な議論が積み重ねられました。
また、モンゴル科学技術大学側からもDX推進の現状や課題、評価の取組が共有され、双方の状況を踏まえた意見交換を通じて相互理解が大きく進みました。本学にも応用可能と考えられる実践的な知見も得られ、今後の取組への示唆となりました。さらに、「大学DXアライアンス」への参画に関心が寄せられるなど、具体的な連携の可能性も見えてきました。



両国の取組を学び合い、広がる連携の可能性
午後のセッションでは、日本およびモンゴルにおける大学DXの現状や教育政策について双方から紹介が行われ、両国の共通点や相違点について理解を深めました。
また、寺尾が現地テレビ番組の取材を受け、DX推進に関するインタビューに応じました。現地メディアを通じた発信により、大学内にとどまらない形でDXの重要性を広く伝える機会となりました。
あわせて劉研究科長からは、本学の産学連携拠点「MICHINOOKU」の取組が紹介され、DXにとどまらない広範な連携の可能性についても関心が寄せられました。
さらに、本ワークショップを契機として、モンゴル科学技術大学とのDX分野における連携拡大について具体的な議論が行われ、連携強化に向けた調印も実施されました。これにより、今後の正式な大学間連携につながる関係構築が進展しました。


現地の研究現場に触れて
3月28日にはウランバートル市郊外において、モンゴル国立大学による鉱山での再生可能エネルギーに関する産学連携施設を視察しました。モンゴルは豊富な資源の埋蔵が期待されながらも、広大な草原におけるエネルギーインフラの未整備が採掘や研究の進展を阻んでおり、特に鉛のような有害鉱物の処理方法といった専門的な研究も依然として求められている現状を現地視察で目の当たりにし、その大きな可能性とともに、解決すべき課題の困難さも深く実感することとなりました。




モンゴル高等教育の躍進に学ぶと今後の連携に向けて
今回の訪問を通じて、モンゴル科学技術大学およびモンゴル国立大学の関係者との間に、今後の連携に向けた信頼関係が築かれました。今後は、これまでの研究・学術交流に加え、技術開発や教職員交流など、より具体的な協力のあり方について検討を進めていく予定です。
現地では、日本留学や対日交流の経験を持つ方が多く、日本語および英語を流暢に運用できる方が多数見受けられました。こうした背景から、日本との交流に対する心理的な距離の近さが感じられました。
また、同国の高等教育が想像以上に戦略的なフェーズにあることを実感しました。日本が提供したエッセンスを独自に進化させ、今や日本側が示唆を受けるべき点も少なくありません。
モンゴルの高等教育において、「日本式高専」制度を導入し、現在では、現地の産業界から「即戦力」として極めて高い信頼を得ており、卒業生の多くが国内外で活躍していることを伺っていました。
日本の大学における認証評価は、これまで「機関別(大学全体)」が主流であり、学部・学科ごとの「プログラム別評価」は第4期(2025年度〜)から本格化する段階にあります。
一方、モンゴルでは教育国家認証評議会(MNCEA)を中心に、かなり以前からプログラム別評価が定着しているとのことで、プログラムごとの専門的な質保証という点では、日本よりも緻密な運用が行われている可能性があります。背景や歴史は異なるものの、モンゴルでの事例は日本における法人評価や認証評価への対応を進める上でも大いに参考になるかもしれません。
モンゴル政府は現在、長期開発方針「Vision 2050」を掲げています。その中で、モンゴル科学技術大学が長期的な取り組みとして、高度な教育モデル「Mongolian - Education 5.0」の構築を行っています。
以上のことから、「モンゴルは親日的で、日本の中古車が走っている国」という表面的な印象を超え、教育の現場では、日本が試行錯誤している「プログラム別評価」や「高度な教育モデル」を、教育DXの観点から驚くべき緻密さで実装しようとしています。
現地で感じたのは、日本へのリスペクトと同時に、「より良いものは柔軟に取り入れ、一気に追い越していく」というハングリーな革新性です。我々も「教える」立場ではなく、共に未来の教育を創る「パートナー」として、彼らのスピード感と実行力から学ぶべき点が多いと確信しました。
こうした経験も含め、今後の連携をより一層前向きに進めていくための土台が整ったといえます。


