チャットボットリプレイスに伴い学生にインタビューしました

東北大学では2020年6月1日にオンライン事務化宣言を発表し、窓口フリー、働き場所フリー、印鑑フリーを柱とする業務のDXを推進しており、あらゆる手続きが24時間365日、どこからでも可能となる窓口の実現するべく、2021年3月29日、東北大学ホームページ上にチャットボット(HAGIBO)を導入しました。

導入以降、学外者、学生、教職員等、東北大学に係る様々なステークホルダの方に対して、希望する情報へ即座にナビゲートしてまいりました。そしてこの度、情報探索から手続きまでを一気通貫でオンライン化し、あらゆる手続きが24時間365日、どこからでも可能となる窓口サービスの実現目指すべく、2024年4月1日にチャットボットのリプレイスを行いました。

リプレイスに伴い、業務のイノベーションチームリーダーである鈴木翔太さんとHAGIBO考案者の上條紗欄さん、業務のDX推進プロジェクトに参加しているTOHOPEのメンバーである山田達就さん、千葉愛斗さんにインタビューを行いました。

インタビューに協力してくれた方

鈴木 翔太(すずき しょうた)さん
情報部デジタル変革推進課業務推進係所属
業務のDX推進プロジェクト・業務のイノベーションチームリーダー

上條 紗欄(かみじょう さら)さん
工学研究科 ファインメカニクス専攻M2 ※インタビュー当時
HAGIBOの考案者

山田 達就(やまだ たつなり)さん
経済学部 3年 ※インタビュー当時
 東北大学の学生団体「TOHOPE」のメンバー

千葉 愛斗(ちば まなと)さん
工学部 電気情報物理工学科 4年 ※インタビュー当時
 東北大学の学生団体「TOHOPE」のメンバー

チャットボットをリプレイスした背景について

鈴木さん:
昨今の生成AI等の技術革新によって、高機能なチャットボットが出始めてきたことから、業務のイノベーションチーム内で検討を行った上で、今回リプレイスするという運びになりました。

これまでは、質問と答えを用意する、いわゆる構造化されたデータを用意して対応する「ルールベース」といわれるチャットボット形式でした。リプレイス後は、PDFなど、あまり構造化されていないデータから、生成AIが回答を検索して対応するというところで、仕組みが全く異なるものとなっています。

従来のチャットボットですと、例えば「東北大学について知りたい」や「貴学はどんな大学ですか」など、様々な質問のバリエーションを考え、それに合わせた回答を事前に用意する必要があり、膨大な数のデータの管理が必要でした。利用者が大勢いる中で、その全てに対応するのは現実的に不可能と言わざるを得ません。

しかしながら、今回、非構造化データを探しにいくという生成AIを使った方式だと、あらゆる入力に柔軟に対応することができるため、利用者の利便性の向上が見込まれます。更に、従来のチャットボットとは異なり、例えば「さっきの質問についてもっと教えてください」など、会話の流れを汲んだ応答ができるようになります。例えば、年度の切り替えや内容の変更があったとしても、PDFを置き換えるだけで作業が完了するため、事務職員の作業効率向上も期待できます。

業務のイノベーションチームでは、 チャットボット以外にもAIを使って、様々なサービスの展開を検討していますので、ぜひ今後に期待していただきたいです。

自身のデザインしたHAGIBOが、本学のチャットボットサービスとして使われてきたことについて

上條さん:
個人として非常に嬉しく思っています。HAGIBOちゃんと仕事しているかなと思って、時々用もないのにチャットボットを開いたりもしています。

最初はシンプルにどういう風に使われているのか気になって見に行って、語尾が「ハギ」になっていて結構驚いたんですけど、その後も年度始めとかは結構いろんなホームページを行き来することが多くて、そういう時、どこに何の情報があるのか分からないこととかが多いので、そういう時にHAGIBOに聞くとすぐに分かるので活用させてもらっています。

学生の立場から考える、デジタルの力で今後改善して欲しい点

上條さん:
人との繋がりは、在学中に自分から行動しないと得にくいものだったなというのは感じています。

サークルや部活、バイトに入るといった、大きなアクションを自ら起こさなくても、例えば学内掲示板みたいなのがあったらそこでコミュニケーション取ったり、「日曜山登り行こうぜ」とか「土曜日空いてたらタコパしよう」みたいな、それぐらい気軽に交流が持てるものがあったら、もっといろんな人と関わっていろんな経験ができるかなと思います。

TOHOPEの活動内容と設立のきっかけ、業務のDX推進プロジェクト加入の背景

山田さん:
昨年は「WEB3東北」という学生団体に所属していて、大学祭で自身が作ったアプリを展示して、それを来場者の方々に使ってもらうという経験をさせていただきました。そこから、自分の学んだ技術や研究などの技術を活かして、現場や実際に誰かに使ってもらうサービスやプロダクトを作ってみたいという思いが生じ始めました。そして同じく昨年、「業務のDX推進プロジェクト」という、事務職員がテクノロジーやサービスを活かしてDXを進めていくという活動をしていることを知りました。私はそこに魅力を感じ、自身もそれに挑戦したいと思い、今回「TOHOPE」という学生団体を立ち上げました。

学生として過ごすだけだと、普段自分が学んでいる技術を実際に活かす機会がなく、それで学生時代を終えてしまうのはすごくもったいないという風に思いました。何か現場とか、実際に誰かが使うサービスとして開発する、実装するっていう機会が欲しいなと思ったのがきっかけです。

千葉さん:
自分もWEB3東北に所属していて、それでブロックチェーンに関することで、何か大学にブロックチェーンの技術を適用できないかということを思って、業務のイノベーションチームの鈴木さんとお話させていただく中で、ブロックチェーン以外にもいろいろな技術、AIなどの技術を使って改善できそうなことがたくさんあると知りました。

自分たち学生は技術主導になってしまって、何かしたいなという気持ちはあるんですけれども、課題というのがなかなか身の回りで見つけづらいというのがありました。鈴木さんとお話しさせていただいたときに、課題はいっぱいあるということを知り、課題と技術のマッチがうまくできたらいいんじゃないかという風に思い、参加させていただきました。

業務のDX推進プロジェクトでの活動についての展望

新しい企画を積極的に提案して、新しいサービスをどんどん作っていきたいです。自分はいろんなテクノロジーを日頃学んでいますので、それを作って多くの人に使ってもらい、多くの人の生活を便利にしていければという風に思っています。将来的に東北大学が国内や世界中の大学から、「この大学はこんな素晴らしい取り組みをしているんだ、ぜひ我々も参考にしよう」と思われるような、世界の大学の参考になるような大学、新しい大学とこれからのアカデミアの姿を作っていきたいというのが私の思いです。それに向けてどんどん取り組みを進めていければと思います。

東北大学がDXを進めていって、世界的な基準となるような先端的な取り組みをしていけることを期待しています。

新チャットボットを実際に操作していただきました!

千葉さん:
前身のものは触ったことがあったのですが、それと比べてちゃんと日本語を理解して回答している雰囲気があって、アルゴリズムで返してきているのとは違うような柔軟性を私は感じました。でも、より詳細な回答が来るともっといいのかなって。PDFの中まで読んで、それをもとにちゃんと答えてきてくれるみたいな。ちょっと欲張りかもしれないですけど。

上條さん:
すごい、何でしょう。会話が成り立っている感があって、温かみを感じてびっくりしました。リプレイス前のチャットボットは、1つ質問したら、「この以下の5つの中ではどれに該当しますか?」みたいなことをもう1回聞かれて、「あ、これかな?」と思う選択肢を押して・・・みたいなプロセスを何段階か挟まないと回答が返ってこないので、そこがちょっと煩雑だったかなっていうのはありました。今はこっちが適当に「お腹空いた」みたいなことを言っても、じゃあその意図を解釈してくれて、学食は今どこが空いてるよみたいなのを返してくれたりとか、すごい自然だなっていうふうに思いましたね。

欲を言えば、HAGIBOを生んだものとして、なんかもっと、何でしょう、HAGIBOを置いてある意味みたいなのを活かせるといいなって思って。今は1枚絵だけでHAGIBOと会話してもらっているというような感じになっていると思うんですけど、マスコット化できると、もっと親近感湧いたりとか、それこそ広報にもなると思うのでいいかなって。

フリートーク

鈴木さん:
2019年に研究協力系の係に所属していて、教員と補助金団体をマッチングするアプリみたいなのを作ろうとしたことがあります。先生方が資金を取ってくる方法の中に助成団体っていうのがありまして、申請して採択されたら資金を獲得できるという流れなんですが、先生方はかなり多忙な上に助成団体もたくさんあるので、自分の研究がどの団体に応募できるを探すのに時間がかかってしまって。そこのマッチングを支援するアプリを開発しようと思ったことがあります。

千葉さん:
友達との間で「こういうアプリがほしい」みたいなのを話していて、ちょっと手動かし始めるけど、でもやっぱり挫折してしまうみたいなのが結構あったりして。 やっぱり技術力もそうだし、これって本当に実現できるのかみたいなところでつまずいてしまうことも多くて。業務のDX推進プロジェクト・チームに参画することによって、職員からの後ろ盾みたいなものがあってすごい心強さを感じているところは率直にあります。

山田さん:
2、3年前から、自分から課題解決しましょうとか、 そういうことを目指せる学生団体がいくつか立ち上がっていたんですけど、 やっぱり実際に大学のサービスを提供するとなると、関係者とかステークホルダを巻き込まないといけないので、何か実際にやりましたっていうところがあまりなかったというのがありました。大学職員と学生が共同してやるっていうのは、東北大学の中でも事例があまりなかったと思うので、すごく期待しています。大学職員がどういうことを考えているのかとか、どういう情報と接しているのか、すごい興味があります。

上條さん:
私は食堂がどれだけ混んでるかを リアルタイムで表示してくれるアプリが欲しいなと思います。私が所属していた研究室から食堂までが結構遠かったので、実際に食堂へ行ってみて、「いやー、混んでる。座れない。」ということがあって。あと、メニューとかも事前に知れたらうれしいなと思います。それから、例えば入試関連だったり進学関連でいろいろ手続きがあると思うんですけど、色々なところから情報を引っ張り出してこなければならないみたいなことが多くあるので、そういうものを一元管理してくれるものだったり、デジタル化が進むと学生はやりやすいのかなという風に思います。

最後に

皆様、本日はありがとうございました。チャットボットをはじめ、業務のDX推進プロジェクトを通じて学生サービス向上、教員の研究時間の確保、魅力ある職場環境の実現を引き続き推進して参ります。また、学生の方を初め、様々なステークホルダと共に、社会と共にある東北大学のDXを着実に実行して参ります。